- クラッシャー上司とはなんなのか
- どんな特徴の人をクラッシャーと呼ぶのか
クラッシャー上司とは、部下を顧みず精神的に追い詰め、自分の成果だけを追い求めるタイプの上司を指す言葉です。
そこで今回は、クラッシャー上司に悩んでいる人に向けて、彼らの特徴やよくある口癖について解説します。
この記事を読み終えると、クラッシャー上司の特徴をしっかり理解したうえで対抗するための具体的なヒントを知ることができますよ。
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もくじ
あなたの上司のクラッシャー上司度チェック
それではあなたの上司のクラッシャー上司度をチェックしてみましょう。
- Q1
- 上司は部下の小さなミスを厳しく指摘することが多いですか?
クラッシャー上司の特徴
では、クラッシャー上司の特徴を確認してみましょう。
- 尋常ではない叱り方
- 自分と同じレベルを部下にも求める
- 自分の失敗を認めない
- 部下の成功を横取りする
- 部下をフォローしない
それでは解説しますね!
尋常ではない叱り方
クラッシャー上司は、部下のミスに対して感情的に怒り、過剰な叱責を行います。
完璧主義なため「黒か白か」という価値観になりやすく、グレーな部分への許容度が低い傾向があります。
ある日、筆者の所属していた部署でプロジェクトの進行がわずかに遅れたことがありました。
プロジェクトの遅れが発覚したあとのミーティングで、女性上司は皆の前で遅れの原因となった部下を怒鳴りつけました。
その女性上司はすごい剣幕で、尋常ではない怒り方になっていました。
まわりが「リカバリーできる遅れなので問題ない」と説明しても、彼女にとりつく島はありません。
その後、彼は自信を失い、余計にミスを連発し、悪循環に陥ってしまったんですよね。
実は、そのプロジェクトは会社でもわりと鳴り物入りのものでした。
でも、クラッシャー上司には遅れによる不安を自分で受けとめるキャパシティーはなかったのです。
本来なら自分自身で向き合わなければならない不安や悩みも、「部下が悪い」ことにすれば一見逃れられるように見えます。
したがって、クラッシャー上司は部下の少しの失敗や仕事の遅れも許せないという状態になってしまうのです。
自分と同じレベルを部下にも求める
クラッシャー上司は、自分のスキルや成果を基準にして、部下にも高いレベルを求めます。
筆者の部署にいたクラッシャー上司がある日、新人にプレゼン資料の作成を命じました。
「○○社へのプレゼン資料、作っといて」程度の指示で丸投げしたのです。
新人がプレゼン資料を提出するたびに、クラッシャー上司は「これじゃ全然足りない。私ならもっと詳細に分析する」などと指摘。
ゴール設定があいまいなため、新人はなかなか上司が満足する資料を提出できず、毎日長時間のフィードバックが続きました。
他のタスクも山積みになるなか、新人は上司の期待に応えようと無理を続け、どんどん身体的にも精神的にも疲弊していきました。
ちなみに、そのクラッシャー上司は、フォローしない理由を「自分は聞かなくてもそれくらいできたから」と言っていました……。
クラッシャー上司は人一倍、自分が無能に見えることを恐れるのです。
自分の失敗を認めない
クラッシャー上司は、自分の失敗を認めることを恐れ、ミスを部下に押し付け責任逃れをします。
自分の過ちを認めてしまうと、自らの権威や立場が揺るがされると考えているからです。
筆者の友人の会社にもクラッシャー上司はいるらしく、その上司が無理なスケジュールを組んでプロジェクトを進めたそうです。
案の定、納期遅れが発生しました。
すると、心配した上司の上司からの問い合わせに対し、上司は「部下のマネージャーの進捗管理がなっていなかったからだ」と説明していたそうです。
クラッシャー上司は「部下をきちんと管理していなかった私も悪い」と薄っぺらい反省を披露。
「原因は自分が組んだ無理なスケジュールのせいである」ことは絶対に報告しなかったそうです。
当のマネージャーは上司の指示通りに進めたにも関わらず、説明の場で弁解の機会もなく、ミスの責任を背負わされてしまったそうです。
上司が自分のミスを素直に認め、対策をしていたら…きっと事態は変わっていたはずです。
部下の成功を横取りする
クラッシャー上司は、部下の成功を自分の手柄にすることで、自己保身をはかります。
クラッシャー上司は、評価や承認などのリソースには限りがあると考えています。
そのため、部下が成果を上げ評価されると、自分評価の取り分が減りポジションが脅かされると考えます。
手柄の横取りは、部下の努力や成功への評価を邪魔し、さらに自分の評価をあげる一石二鳥な手法です。
これも筆者の友人のクラッシャー上司の話なのですが、ある若手の部下が新しい営業戦略を提案したそうです。
その後、若手は上司の言葉に負けず、クライアントとの大口契約を無事結ぶことに成功しました。
ところが、成果報告のミーティングで、上司は突然こう発言しました。
手柄を上司のものにされてしまった若手はあっけにとられるのですが、ミーティングの場で言い争いになることを避けてその場で反論せずにいたそうです。
手柄を横取りしたところで、周囲は誰の成果なのかしっかり見ているというのに…自らを顧みないクラッシャー上司は、気づくことはありません。
部下をフォローしない
クラッシャー上司は、フォローを甘やかしととらえ、部下が困難に直面しても助けません。
また、適度なフォローや指示をせず突き放せば、何かトラブルがあっても「部下が勝手に動いた」と言って全責任を部下に押し付けることができます。
そのようにして自己保身を図る傾向が強いのです。
筆者のとなりの部署で、ある日新しいシステム導入プロジェクトがスタートしていました。
しかし、後から聞いたところによると、新人が技術的な問題に直面していたようなんですよね。
あまりシステム関連が得意でなかったその部署のクラッシャー上司は「そんなの自分で解決しろよ」と無関心。
まわりが気づいたときには新人がボトルネックとなって、プロジェクトは遅れてしまっていたそうです。
その新人は生真面目な性格だったために、なかなかまわりにSOSを出せず。
結果、孤立したままストレスフルな状態で作業を続けるしかなかったとのことです。
クラッシャー上司の口癖
クラッシャー上司の特徴をチェックしました。次は彼らの口癖を見ていきましょう。
- あなたのため
- フォローはしない
- なぜこんなことができない?
- やる気あるの?
- 勝手なことするな
ひとつひとつ、解説しますね。
あなたのため
クラッシャー上司の言う「あなたのため」という言葉は、コントロールや自己満足のための手段です。
筆者が、とある会社に勤めたての頃です。
上司から「チームのために動いてもらうことが君の成長につながる」と縁の下の力持ち的な仕事をするよう要請されました。
上司の言葉を真に受けた筆者は、表だって評価されないような仕事を一手に引き受けました。
ですが、実際に評価されるのはわかりやすく成果につながる仕事をした人たちばかり。
筆者は仕事以外の膨大な雑用に追われ、心身とも疲弊してしまったのでした……。
普通の方法では、部下に過剰な負担や無理を強いることは簡単にはできません。
クラッシャー上司は「君のため」という一見、部下の成長や成功を願う言葉を使って自分の思うままに相手を動かすのです。
フォローはしない
クラッシャー上司が好んで使う「フォローはしないぞ」「助けないからな」という言葉。
表面的には部下に自主的に動いてもらおうとしているように見えますが、これは責任の放棄、かつ押し付けです。
ある日、筆者の同僚が難易度の高いプロジェクトを任されたんですね。
でも上司はそのときに一言「フォローはしない。自分でやれ」と声をかけました。
一見同僚を信じているように聞こえますが、いわば丸投げをしたのです。
部下がプロジェクト進行に四苦八苦していても、上司は宣言通りサポートせず。
結果プロジェクトは間に合わず大失敗。同僚は追い詰められ、精神的に限界を迎えてしまいます。
その後、部下の失敗を理由にプロジェクトの難易度を下げさせた上司は、後日プロジェクトを成功させます。
「フォローはしない」という発言の裏には、自分の責任を最小限にし、失敗のリスクを部下に押し付ける自己保身の心理が隠されているんです。
なぜこんなことができない?
クラッシャー上司の口癖には「なぜこんなことができない?」もあります。
上司は自分のスキルや経験と同じレベルで、部下に成果を求めています。
そもそもクラッシャー上司は部下のことをよく見るということもしませんし、見守って成長を待つこともできません。
しかし、その現実とかけ離れた過剰な期待は、部下の自信を削ります。
ある日、上司が後輩ちゃんに取引先へ送付する契約書を作らせていました。
契約書の完成をガンガン急かした上司が「なぜこんなことができない?」を連発します。
しかし、そんなことはおかまいなしの上司は厳しく後輩ちゃんを詰問しまくり。
かわいそうに、次第に後輩ちゃんの契約書の文言を打つ手が震えだします。
何度もやり直しを求められ、まじめな後輩ちゃんはすっかり自信を失い、委縮してしまっていました。
やる気あるの?
クラッシャー上司は「やる気あるの?」という言葉もよく使います。
これは、部下の努力や意欲を完全に否定する一言です。
これ、実は筆者も言われたことがありまして。
新しい部署に来て間もなく慣れない仕事に奮闘していたころ、上司から「やる気あるの?」と言われてしまいました。
関連資料を洗い、不具合が起きそうなところをピックアップ。
まわりからも聞き取りをして、万全の態勢で仕事を進めようとしていた矢先でした。
筆者は「ああ、この人は私のこと全然見てくれてないんだな」と感じ、モチベーションは正直下がりました。
その後も、その上司は気に食わないことがあると、なにかと「やる気あるの?」というコメントを繰り返しました。
部下が上司の期待の水準まで届いていない場合、理由はいろいろあります。
経験やスキル不足、抱えている業務が多すぎることなどもありますが、上司自身に問題がある場合も含まれます。
例えば、明確な指示がないことやコミュニケーション不足などです。
ところが、クラッシャー上司はそれらの原因を考察することはありません。
高い水準を押し付けるわりに「水準に達しないのはやる気がないからだ」という短絡的な結論を出してしまうのです。
勝手なことするな
クラッシャー上司は、部下が自主的に行動することを嫌がり、自分の指示に従うことを強く求めます。
筆者のとなりの部署の話なんですが、なんというか覇気がないんです。
ずっと不思議だったのですが、だんだんわかってきました。
ある日、その部署の新人が新しい業務改善策を提案していたんですね。
それに対し彼の上司は「勝手なことするな」と一蹴していました。
そんな感じで新人が提案して上司が却下するシーンを、筆者は何度か目撃しました。
よく見るとその態度は新人だけでなく、部署全体のものだったんですよね。
クラッシャー上司は不安が強く、基本的に他人のことを信頼していません。
何もかも自分で把握しておきたいのです。
クラッシャー上司は、部下を完全に自分の管理下に置くことで安心感を得ようとします。
だから他人の自発的な動きは、クラッシャー上司にはリスクにしか見えないのです。
そんなクラッシャー上司の言動は、部下の自発的な行動や創造力をさまたげます。
チームのモチベーションを下げ、結果、職場の成長や成果に悪影響を及ぼすことが多いのです。
クラッシャー上司に対して部下ができる対策や対処法
ここまでクラッシャー上司の特徴や口癖を確認してきました。
こんな上司ではまともに改善を求めても、とりあってはくれないのは明白ですよね。ではどうしたらよいのでしょうか?
- 上司の上司に相談する
- クラッシャーが社長の場合
- 匿名で社外の相談窓口を使う
一緒にチェックしていきましょう!
上司の上司に相談する
クラッシャー上司対策として、まずは上司の上司に相談することを検討しましょう。
そこで重要になってくるのが証拠集めです。
筆者の友人も、クラッシャー上司の横暴に巻き込まれて困っていました。
クラッシャー上司は、プロジェクトの進行中に180度内容が違う指示を短期間に何度も出していました。
友人含む部下たちが新たな指示に対応しきれず、締め切りに間に合わなかったため、上司は厳しく叱責。
これらの指示変更の経緯を、部下たちはメールやチャットの記録として保存していました。
そして、プロジェクト遅延の原因の証拠として上司の上司に報告。いわゆるエスカレーションです。
プロジェクトはそれほどのダメージもなく、無事終わらせることができたのでした。
ここで気を付けたいのは、愚痴で終わらせたり、感情的になったりしないこと。
「困っている」「つらい」とだけ訴えても、上司の上司は軽々しく動けません。
具体的な事実でもって、客観的に説明することが大事なのです。
あいまいな証拠だと上司の上司が自信をもって判断できません。だから、明確な証拠集めがキモになります。
筆者の友人たちがまずはメールやチャットなどの証拠集めをしたように、クラッシャー上司対策の第一歩は証拠集めです。
会話の記録、メール、LINEでのやりとりなどなど。他にも、上司の言動による業務への影響も整理してまとめておくのが大事です。
さらに上司の上司が素早く次の手を打てるように、改善案もセットで持ち込むとスムーズに動いてくれますよ。
クラッシャーが社長の場合
クラッシャー上司が社長の場合、上に相談するという道がないため、状況改善はさらに難しくなります。
社長が変わらない限り、会社の環境が変わる可能性は低く、冷静に将来性を判断する必要があるからです。
筆者の知り合いも典型的なクラッシャー社長のもとで働いていました。
強引な社長の手腕で最初は会社も業績もよかったのですが、次第に社長が原因で離職率も上がっていき、業績も下がりました。
知り合いはそれでも長い間耐えていたのですが、ボーナスがゼロになった時点で将来性のなさを実感し退職を決断しました。
社長がクラッシャー上司タイプの場合、対策の難易度は高くなります。
その場合は、将来性を見極めて、冷静に転職などの選択肢を検討するのがおすすめです。
匿名で社外の相談窓口を使う
会社内での改善が難しい場合、社外の相談窓口を利用するのも有効な手段です。
労働基準監督署やハラスメント相談窓口などでは匿名で相談ができるため、自分の立場を守りつつ問題解決を図ることができます。
それから、相談内容にあった相談窓口に電話して相談してみましょう。
筆者の友人は、クラッシャー上司から無理な残業を強いられ、一部の残業代が支払われていないことに悩んでいました。
友人は労働基準監督署に相談し、残業記録や給与明細などの証拠を提出しました。
労基署は友人の個人情報を会社には伝えず、会社全体に対して是正指導を行いました。
また会社の残業ルールも見直されました。
筆者の友人は比較的うまくいった一例ですが、社外の窓口に相談しても、必ずしもすべてがすぐに解決するわけではありません。
でも、一歩踏み出すことが重要なのです。
客観的な視点を持つ専門家に相談したら、問題への見方が変わって問題解決の糸口が見つかるなんてこともありますよ。
まとめ:クラッシャー上司はなかなか潰れない
この記事ではクラッシャー上司の特徴や口癖について解説してきました。
クラッシャー上司の特徴は以下の通りです。
- 尋常ではない叱り方
- 自分と同じレベルを部下にも求める
- 自分の失敗を認めない
- 部下の成功を横取りする
- 部下をフォローしない
クラッシャー上司は本当に厄介で、一般的な対処法ではほとんど効果がないことが多いです。
彼らクラッシャー上司は、追い詰められた部下が例え精神疾患になったところで、罪悪感を感じないんですよね。
また、何人もの部下をターゲットにして潰しているのに、クビになるどころか出世していったりすることも多いのです。
最善策は上司の上司や社外の相談窓口に相談することですが、それでも状況が変わらないケースも少なくありません。
そのため、自分の限界を見極め、早めに別の解決策を考えることが大切です。
筆者が昔勤めていたある会社では、社長がクラッシャー上司タイプでした。
社長は他人の意見を聞き入れず我が道を行くタイプ。
どんどん精神的に追い詰められ、また、会社の将来性に疑問を感じた筆者は悩んだ末、退職することにしました。
しかし、辞めると伝えた直後から、デスクから会社支給のパソコンやら電話やら、仕事に必要な物を撤去されるという嫌がらせを受けたのです。
そして、退職までの3週間、筆者は毎日毎日、ただ座っているだけの日々を送りました。
筆者は病んで退職という末路をたどりましたが、もしあなたが同じような状況にいるなら、無理をせず退職や転職などの自分を守る選択をしてほしいです。
あなたがいろいろ頑張ってるのは自分が幸せになるためですよね。
クラッシャー上司から自分を守る決断ができるのは自分だけ!筆者はそう思っています。
退職や転職は決して逃げでも甘えではありません。むしろ自分を大切にするための正当な手段なのです。